小説

夜の道

11月の空はとても黒い。どこまでも遠く、吸い込まれてしまいそうな黒の中にいる月は良く目立つ。それは丸く、大きくなるほどに、強く存在を示す。そんな月も今日は生憎の三日月。細く薄い月明かりと等間隔に置かれた街灯の弱い光では、夜の道を歩くには少し…

悪夢 ※ホラー

気がつくと会社のオフィスにいた。大きな窓越しの太陽が背中をジリジリと照らしている。目の前の画面には様々なソフト、ファイルが敷き詰められている、いつもの仕事画面だった。もしかして居眠りをしたのだろうか?記述が途中で止まっているプログラムの羅列…

再会

 程よい音量で静かな洋楽が流れるおしゃれなカフェの中は、PCで何か作業をしているサラリーマンや買い物帰りの休憩として訪れた主婦、友達と甘いスイーツを食べながら仲良く談笑をしている高校生、ドリンクを片手に誰かを待ちながらスマホを操作している女…

酔っ払い

「ごぉじろぉ・・・」「・・・何ですか」「俺は、もう、ダメだぁ・・・」もう5回も繰り返したこの会話に、光子郎はため息をつく。どうしてですか?と聞くべきなのか。悩みつつも呆れつつ、酔いつぶれている太一を横目に散らかった部屋を着々と片付けていく。…

懐かしい?思い出

「ライブまでに死ぬ気で勉強しなきゃなぁ」「まぁ、頑張れ。というかライブとか行くんだなお前」「行くわよ!これでも昔、結構色んなバンドの曲聴いてたのよ?」「へぇ?例えば?」「最近テレビに出るようになったけど、〇〇は最初の方から知ってるし、▽△と…

静かに欠ける

小学生にとって待ちに待った夏休みも風のように過ぎ去り、夏の暑さが少しだけ残る9月。学校が終わった丈と隆一は一緒に歩道を歩いていた。「それでな、パスを出したところを俺がカットしてやったら相手びっくりしてさ!」「あのカットは誰でもびっくりするよ…