キスの日
キスの日。そんな日があることを知ったのはSNSのトレンドからだった。気になってタップしてみると様々なキャラクターの創作イラストで溢れている。もしかしてそういう類だけの話なのかと思って検索してみたところ、しっかりと由来があるようだった。「何調…
デジモン 小説デジモンアドベンチャー,ヤマ丈,丈ヤマ,城戸丈,石田ヤマト
ずるずる片思い
「光子郎、高校受かったらしいね」そう話した丈の口から白い息が漏れて消えていく。冬に比べれば随分暖かくなったと思ったが、春と呼ぶにはまだ早いらしい。両手を温めるように持った温かいお茶を、ヤマトはひと口飲み込んだ。「らしいな。太一から聞いたよ」…
デジモン 小説デジモンアドベンチャー,ヤマ丈,城戸丈,石田ヤマト
朝
窓から差し込む光が眩しさに光子郎はゆっくりと瞳を開く。うつらうつらと揺れる思考と重たい体の原因は仕事のせいだろう。昨日も早く帰ろうと頭の中で最重要タスクとして掲げていたが、他社とのやり取りや困っている社員のヘルプに自分の持っている仕事、様々…
デジモン 小説デジモンアドベンチャー,丈光,城戸丈,泉光子郎
あの人の影響
「丈さん」恐る恐る声をかけた。それは僕の知っている中で最近の丈さんとは少し違う見た目をしていたから。おまけにここは色んな人が行き交う駅前。見つけてから声をかけるまでに丈さんと共通する点を何度も結んだからきっと合っていると思う。けれど世界には…
デジモン 小説デジモンアドベンチャー,丈ヤマ,城戸丈,高石タケル
桜が咲く前に
空っぽの部屋の中に静かに風が吹く。優しい陽だまりが茶色いフローリングからあぐらをかいた丈の足元を照らしていた。「なんもねぇな」後ろから聞こえた声に振り返ると、廊下から出てきたヤマトが丈の隣に座り込む。カーペットの無くなったフローリングは痛く…
デジモン 小説デジモンアドベンチャー,丈ヤマ,城戸丈,石田ヤマト
雨音
「うわ・・・」灰色の空から大粒の雨が降り出していた放課後。突然の雨に立ち尽くすヤマトの横を生徒たちは傘をさして歩いていく。出かける前に「今日は一日晴れるでしょう」とテレビの中で笑って送り出した天気予報士を信じたヤマトの手に中にはもちろん、傘…
デジモン 小説デジモンアドベンチャー,ヤマ空,武之内空,石田ヤマト
馬と鹿
「兄さん」夕焼けが差し込む薄暗い部屋の隅にうっすら映る膨らんだシルエットは遠くから呼びかけたぐらいでは動かない。今日は珍しく布団を敷いて寝ていた。あんな狭いところで寝なくてもいつも布団で寝ればいいのに、と思いながら近くまで寄ってしゃがみ込ん…
デジモン 小説シュウシン,デジモンアドベンチャー,城戸シュウ,城戸シン
夜の道
11月の空はとても黒い。どこまでも遠く、吸い込まれてしまいそうな黒の中にいる月は良く目立つ。それは丸く、大きくなるほどに、強く存在を示す。そんな月も今日は生憎の三日月。細く薄い月明かりと等間隔に置かれた街灯の弱い光では、夜の道を歩くには少し…
デジモン 小説デジモンアドベンチャー,城戸丈
悪夢 ※ホラー
気がつくと会社のオフィスにいた。大きな窓越しの太陽が背中をジリジリと照らしている。目の前の画面には様々なソフト、ファイルが敷き詰められている、いつもの仕事画面だった。もしかして居眠りをしたのだろうか?記述が途中で止まっているプログラムの羅列…
デジモン 小説デジモンアドベンチャー,泉光子郎
超えない一線
「あっ」高架下の日陰に隠れるようにた佇む一つの影。風で吹き飛んでしまいそうな細いシルエットが鮮明になると、少し跳ねた紺色の髪に黒縁の眼鏡が白い肌をコントラストに目立たせる。しゃがみ込んだ足の間に自身のパートナーを乗せ、何か楽しそうに話しなが…
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赤色に透かされて
その日は珍しく、2人だけで帰った夜だった。デジモンに関することで話し合いをするため、いつもの公園に7人が集合した後、いつも光子郎と一緒に帰っていた太一とヒカリは家族との用事で話し合いが終わった後に駆け足で帰っていった。今日は1人で帰るか、と…
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意地っ張りな子供
「ごめん!」昼下がりの街中。待ち合わせ場所として多くの人が利用する噴水の前で、人目も気にせず両手を合わせて頭を下げる太一に光子郎はため息をついた。「今、何時だと思ってるんですか」「・・・11時だな」「集合時間、何時でしたか?」「・・・10時…
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